大きな大会で演武し拍手喝采をしてもらうのが修行の目的でない。また道場で新人や若いメンバーに技をかけ投げるのが有段者としての指導の役割でもない。道場に集い、示された技を道場生と黙々と作り上げ、嬉々として帰って行く。そして出会った仲間と友情を深め合い、共に合気道を通じて生きていく。日々稽古し、その日常の中に価値を見出す日本の武道の素晴らしさ。それ故にすべての人に武道~合気道~は開かれていると思う。
佐藤さんとの出会いは、 もう何十年前になろうか。香芝市の北今市に道場があった頃、わが会がまだ小さくメンバーも限られていた時に入ってこられた方である。私が初めて年上の方に合気道を教え、拙い指導に辛抱強くついてきていただいた方である。
まだ互いに若くそんな日が来る実感もなかったが、合気道を70歳まではやりましょうと誓っていたものである。
その佐藤さんが今年69歳になられた。この間、わが会を支え若者たちを時には励まし、また苦言もいい、わが会の基礎を創ってきていただいた。
最近では時間が取れない中、それでも時折り稽古にきていただき、若手の指導と稽古後には楽しい笑い声を聞かせていただいた。
このたび定期的に稽古に来るのが困難ということについて、私に了解を求めに来られた。
佐藤さんはこの会を育てていただいた存在で、また私との関係で言わば同志である。
いつでも道場を覗いていただき叱咤激励していただくように私は遇したいと思う。また、いつでも道着に袖をとおして共に汗したい。
人には人への遇し方があって、時に日本の文化である「道」の修行はカルチャ-センタ-のように来なくなったら退会というものではない。
道場で定期的に稽古するばかりが修行ではないだろう。 これからは不定期にまた生活の中で合気道の稽古をしていただきたい。
そのため、佐藤さんには わが会の第1号の「永年名誉会員」になっていただいた。
会員の皆様もわが会の永年会員として遇してほしい。
佐藤さん、これからもよろしくお願いします。冨永